ミュージカル『ナイツ・テイル ー騎士物語ー(KNIGHTS’TALE)』感想、2人の騎士による祝祭劇

ナイツ・テイル.jpg
9月20日撮影【写真転載不可】画像はダウンロードできません。(知)

「ええ〜〜〜!!うそーーー!!」

と、思わず口に含んだコーヒーを吹き出してしまうほどのビックニュースが飛び込んできたのが1月19日(金)早朝のこと。

驚いたのも無理はありません。
KinKi Kids の堂本光一さんが初の外部舞台出演、しかもミュージカル界の貴公子・井上芳雄さんと W 主演だというのですから驚かないわけがありません。
これは今年一番の話題作になるに間違いないと確信した次第です。

さまざまな情報が飛び交う中、じりじりと待つこと8か月。
獲得は至難の技と言われていた
『ナイツ・テイル』
のチケットを運良く手に入れやっと観ることができました。

ミュージカル『ナイツ・テイル ー騎士物語ー(KNIGHTS’TALE)』
東京都 帝国劇場:2018年7月27日(金)~8月29日(水)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール:2018年9月18日(火)~10月15日(月)







脚本は世界的演出家ジョン・ケアード


『ナイツ・テイル』の脚本を立ち上げたのは、 ミュージカル『レ・ミゼラブル』の初演を手掛けたことで知られている英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)名誉アソシエート・ディレクターのジョン・ケアード氏です。
『ハムレット』を始めこれまで日本で数々の舞台の演出を手掛け、ミュージカルファンにとってもなじみ深い演出家です。



「堂本光一さんと井上芳雄さんが同等に活躍する舞台を」と依頼され原作探しに苦労された末に、見つけ出したのがこのシェイクスピア最後の作品「二人の貴公子」だったそうです。

正直に申しますと、あまり聞きなれない作品名にそこはかとない不安がありました。
しかし、観劇を果たした今では、「よくぞこの作品を見つけてくれた!」と感謝しかございません。

堂本光一×井上芳雄 W 主演


ジャニーズのプリンス堂本光一.jpeg
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ジャニーズのプリンス
同一演目単独主演回数更新中
そのカッコよさ国宝級


ミュージカル『Endless SHOCK』でミュージカル同一演目単独主演回数の更新を続けている堂本光一さん。
あれだけ激しい舞台をみせてくれる方ですから、ダンスがキレキレなのはもちろんのこと、やることなすこと一挙手一投足がカッコいい!

そのキレキレのダンスとカッコ良い演技を外部の舞台で観ることができるのですから、これほど貴重な機会はありません。

『ナイツ・テイル』では、カッコいいだけでなく、とても可愛らしいお姿を見ることができます。
一言だけ申し上げるとすれば「ハーフアップは正義」でございます。

ハーフアップのお姿が、それはもう色気があって、可愛らしく、並み居る乙女をキュン死させにかかっているとしか思いません。

西のプリンス井上芳雄.jpeg
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ミュージカル界のプリンス
永遠の貴公子
気遣い上手の毒舌王子


井上芳雄さんといえば、東京芸術大学在学中に皇太子ルドルフ役で鮮烈なデビューを飾ったミュージカル界の貴公子。
出待ちする乙女たちによって自然に作られる道は「プリンスロード」と呼ばれ、あまたの作品に出演し多くのファンを魅了してきた方です。

『ナイツ・テイル』にはこの2人が揃って出演。
リアルプリンス VS リアル貴公子が一つの舞台で観れるという贅沢さ。
2人のプリンスっぷりが観れるだけでも生きていて良かった〜レベルです。

さらに、元宝塚雪組トップスターの音月桂さん、『舞妓はレディ』で日本アカデミー賞 新人賞を受賞した上白石萌音さんをはじめ、岸祐二さん大澄賢也さん島田歌穂さんと豪華共演陣の揃い踏み。

この舞台

必見です!!

とは言いましても当日券を手に入れるのも難しい状態なのですが…(汗)

前評判ではダンスの光一さん、歌の井上さんと活躍シーンが分かれているのかと思われましたがそうではありませんでした。
堂本光一さんもなかなかの歌い手、井上芳雄さんと堂本光一さんの声の相性がすこぶる良く、2人の声が合わさるとまるでハッピーオーラが広がるような幸福感。

演じる人も観る人も等しく幸福になれる、これはまさしく祝祭劇、日本的に言いますと神々に奉納される神楽なのではと感じた次第です。



ナイツ・テイル あらすじ


ーーいとこで親友のアーサイト(堂本光一)パラモン(井上芳雄)は、戦争で捕虜になる。
牢獄の窓から王女エミーリア(音月桂)を見た二人に恋が芽生え、二人の友情は敵愾心に変わる。
艱難辛苦を経て再会する二人の貴公子は、王女の愛を競い合い決闘を挑むが…

このあらすじを読み、これは悲劇に違いないとワクワク…いえハラハラしながら待っていた方がどれほど多かったことでしょう。

あらすじからはちょっと想像できませんでしたが『ナイツ・テイル』は間違いなく喜劇です。
腹を抱えて笑う喜劇ではなく、シェイクスピア流オープンエンドな喜劇。

フラヴィーナの言葉を借りれば、2人のプリンスに「癒される〜」ほのぼのハッピーなミュージカルです。

シェイクスピアと和の融合



今回の公演は世界初演、海外に打って出るにことを前提にした舞台です。
世界に誇る日本オリジナルミュージカルを作り上げるため、和太鼓・笛・三味線の奏者のみなさまが出演者として参加されています。

「シェイクスピアと和テイスト?」
「ミスマッチでは?」

と思われているそこのみなさん。

シェイクスピアと和の融合、それはそれはカッコいいことになっております。

テーベ、アテネが舞台にもかかわらず限りなく和風

和太鼓・笛・三味線の音や衣装が醸し出す雰囲気だけでなく、能や狂言、歌舞伎を思わせる風情あるのですから不思議です。
シェイクスピア特有のセリフも出演者の口から語られるとどことなく和風。

「ナイツ」というよりも「サムライ」といったところでしょうか。

後半に狂言回し的な役割を演じる大澄賢也ジェロルドのセリフ回しが実に小気味よく、歌舞伎の口上を聞いているかのよう。
巨大な能面やリボンを血とみなす表現もかなり日本的です。



『ナイツ・テイル』の舞台上には、蜘蛛の巣状のシンプルなセットがあるのみ。

扇状に広がるセットをこれまた扇状に広がる座席が取り囲むため、観客はまるで古代ローマのコロッセオで舞台を覗きこんでいる感覚に捉われます。

フラヴィーナが牢屋に囚われた高貴なプリンスたちを覗き見しているかのごとく、舞台をそっと覗き見しているかのような感覚。
もしくはコロス(古代ギリシア劇の合唱隊)の一員として参加しているとでもいった趣きです。

蜘蛛の巣状のシンプルなセットに囲まれた空間は、になったかと思えば戦場にもなり、はたまた野の花が咲き乱れる園にもなります。

まさにジョン・ケアードマジック!

蜘蛛の巣状のセット照明、いずれも実に効果的に使われかなり立体的な演出。

場面転換戦闘シーンではまるで違った盆の動き、1幕冒頭に赤々と燃え上がる炎の円環が開かれたか思えば、2幕終盤では思慮深く聡明なヒポリタ(島田歌穂)の動きに合わせその色を変え静かに閉じられる。
演者の動きに合わせて飛び交う照明の煌めきにも心奪われます。

さすがジョン・ケアードでございます。

女神たちに捧げる祝祭劇




『ナイツ・テイル』が祝祭劇、もしくは神楽だとしたら誰に捧げるための舞台なのでしょうか。

それは間違いなくその場にいる女神たちに捧げられたものに違いありません。
『ナイツ・テイル』に登場するヒポリタ、エミーリア、フラヴィーナの3人は、滑稽ですらある男性陣に対し常に思慮深く聡明で優美、そして勇敢です。

劇中に登場する女神は、ダイアナアテナフローラ、そしてヴィーナスの四柱。

それぞれ、狩猟と月の女神ダイアナ(ヒポリタ)英雄たちの守護神にして叡智の女神アテナ(エミーリア)花と花による実りを守護するフローラ(フラヴィーナ)、そして客席にいらっしゃるすべての乙女のみなさまがヴィーナスと考えるとスッキリします。

古代ギリシャでは一番賢い神は女神だと信じられていたといいます。
女神たちを讃える祝祭劇、古代ギリシャを舞台にしたミュージカルらしい展開ではありませんか。

ヒポリタエミーリア.jpeg
【写真転載不可】画像はダウンロードできません。(知)


2人のプリンスっぷりはお伝えした通りですが、3人の姫っぷりもハンパありません!

統率力・判断力共に備わる美しく頼もしいヒポリタ(島田歌穂)、やわらかな花びらを思わせる可憐なフラヴィーナ(上白石萌音)、エミーリオかと思われるほどハンサムなエミーリア(音月桂)、どなたも極め付きの姫っぷりです。

特に音月桂さんの姫っぷりは特筆に値します。

かわいらしいだけの姫ではない、兄のシーシアス(岸祐二)にもしっかり意見し一歩も引かない男らしさ。
舞台上での誰よりもハンサムなその振る舞い、さすが元宝塚雪組トップスター!!

また、高すぎることなく豊かで聞き取りやすい中音域の声

絶品でございます!!

気を抜くとその魅力で殺しにかかってくるエミーリア(音月桂)

これからご覧になる乙女のみなさま要注意でございます。

美しい弧を描くエミーリアとアーサイトのリフトパラモン確かな手で軽やかに舞うフラヴィーナ
ラストシーンはまるで夢のような美しさでした。

最高のキャスト、素晴らしいダンサー、考え抜かれた舞台美術、細やかな照明、一流の舞台を堪能することができました。

このミュージカルは堂本光一さんの夢だったと聞きますが、同時に東宝さんとジョン・ケアード氏の夢でもあったのではないでしょうか。

(知)


ナイツテイル梅田芸術劇場.jpeg
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アンサンブル&和楽器奏者


アンサンブル(50音順)
青山郁代
石井亜早実
遠藤令
折井理子
門間めい
小林風花
今野晶乃
杉原由梨乃
知念沙耶
富田亜希
七瀬りりこ
原梓
藤咲みどり
水野貴以
神田恭兵
小西のりゆき
酒井航
茶谷健太
寺元健一郎
照井裕隆
中井智彦
西岡憲吾
練子隼人
樋口祥久
広瀬斗史輝
松野乃知

三浦公規(和太鼓)
内藤哲郎(和太鼓)
武田朋子(篠笛・能管)
織江 響(津軽三味線)

スタッフ


原作:ジョヴァンニ・ボッカッチョ「Teseida」、ジェフリー・チョーサー「騎士の物語」、ジョン・フレッチャー / ウィリアム・シェイクスピア「二人の貴公子」

脚本・演出:ジョン・ケアード
作詞・作曲:ポール・ゴードン
日本語脚本・歌詞:今井麻緒子

振付:デヴィッド・パーソンズ

美術:ジョン・ボウサー
照明:中川隆一
音響:本間俊哉
衣裳:ジーン・チャン
ヘアメイク:宮内宏明

音楽監督・歌唱指導:山口琇也
邦楽編曲・太鼓指導:佐藤三昭
追加オーケストレーション:コナー・キーラン、山口琇也、佐藤三昭
音楽補:アンディ・コロピー
指揮:若林裕治
オーケストラ:東宝ミュージック、ダット・ミュージック
マニュピレーター:古賀敬一郎
稽古ピアノ:間野亮子、知野根倫子

演出助手:上田一豪
振付助手:ナタリー・ロモント
アクションコーディネーター:諸鍛冶裕太
舞台監督:北條 孝

装置補:中根聡子
衣裳補:桜井 麗
音響補:秋山斎裕
舞台監督助手:上田光成
歌唱指導助手:本田育代
制作助手:鎌野美由紀、高永知佳
アシスタント・プロデューサー:尾木晴佳

プロデューサー:齋藤安彦、塚田淳一
製作:東宝株式会社

宣伝美術:小西玲子、駒井 茂

公演情報


2018年7月27日(金)~8月29日(水)
※7月25日(水)・26日(木)はプレビュー公演
東京都 帝国劇場

2018年9月18日(火)~10月15日(月)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール

『ナイツ・テイル -騎士物語-(KNIGHTS’TALE)』公式サイト
http://www.tohostage.com/kt2018/index.html

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